線で描くのではなく、点を重ねて絵を描く人が世の中にいます。

私がその内の一人で、点描法を用いて絵を描いています。

作品を見てくださった方から、ときどき聞かれることがあります。

「どうして点で描いているんですか?」と。

正直に言うと、長い間わたしはその問いに上手く答えられずに過ごしてきました。

それは何故かと言えば、点で絵を描くことのメリットを見つけたから点描画を始めたというより、本能的に点で絵を描くことが楽しいと思って描いてきたからです。

20代前半の頃には、点描画よりも"花と女性"をテーマとしたイラストを描くことに夢中になった時期もありました。
丁寧な線で描く楽しさや、カラフルに色をつける面白さを感じていたからです。

だけど「心の中にある感情を、こんな表情とこんな雰囲気で絵にして見てみたかったのに、いざ描いて出来上がってみたら想像してたのと違う…」みたいな事が頻繁に起こり始めました。

思い通りに仕上がらない苛立ち。

イラストで心を表現することは向いてないのかもしれないと思うと、"絵にして見てみたい"というワクワクした気持ちも、やる気に満ち溢れていた手も、ピタリと止まってしまいました。

そんな時に、改めて過去に描いてきた点描画を眺めると「自分の描く点描画は、向き合った熱量や気持ちがそのまま素直に絵に宿っている気がする。ずっと観ていたい。やっぱり好きだ。」と思いました。

そうして、数年間のカラフルなイラストへの浮気から、またモノクロの点描画に心が戻ってきました。

点描というと「細かいし、果てしないし、大変そう」と言われることが多いのですが、作業のコツを掴んだ今となっては、作業自体に苦しさを感じることはありません。

わたしにとっては"点をひたすら打つ"というよりも "点を置いていく"感覚に近くて、「ここの部分にはこれくらいの密度で、ここはなんとなくバランス的に一点だけ描いておこう。」みたいなことを考えながら、ひとつひとつ、心と相談しながら点を置いていく感じで描いています。

そうやって長い時間の中で黙々と静かに作業をしていると、外から持ち帰ってきたストレスから少しずつ心が切り離されて、心の中が静かになっていきます。

考え事が始まることもあります。過去のことを思い出していたり、未来のことをぼんやり考えているときもあります。時々、感情が過去や未来に深く入り込み過ぎてしまい、悲し泣き・嬉し泣きをしながら描いていることもあります。

手は今この瞬間に集中しているんだけど、心は過去と今と未来という時間の中を、自由自在に行き来しています。

わたしにとって点描画を描いている時間は、茶道や花道と似ているところがあるのかもしれません。やることは手が覚えていて、心は水の音や心の音に耳を澄ませている。心を整えているような時間です。

そんな時間を数日間にわけて、時間をかけて点を重ねながら、ゆっくりと絵が生まれていきます。

そんなわたしですが、今のわたしが描きたいと思っている絵は、かっこいい点描画です。

点描というと、砂絵のような粒子感のある穏やかな雰囲気の作品が多いかもしれません。

わたしが描きたい点描画は、粒子なんだけど粒子でないようなメリハリのあるコントラストで、日本の心や死生観を想いにのせた絵や、人生の喜びや輝きをテーマとした粋でお洒落なかっこいい絵を描きたいと思っています。

点と点が繋がって線になるように、小さな点が集まって生まれる、力。

その魅力を、これからも自分なりに探し続けていきたいと思っています。

それでは、また来月。
またね♪


みいけ

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